遺言書の方式と税負担を考慮
遺言書は、主に自筆証書遺言と公正証書遺言がありますが、近年の民法の改正により、自筆証書遺言も作成しやすくなり、また保管制度を利用すれば家庭裁判所の検認が必要なくなりました(自筆証書遺言書保管制度 (moj.go.jp)。
ただし、遺言書は、方式(決まった書き方)が民法で定められており、この方式に適合しない遺言書は「無効」になりますので、特に自筆証書遺言を作成する場合には、書き方に注意をする必要があります。
一方、公正証書遺言は、公証人が方式に沿った遺言書を作成して立会人(証人)2人を介し内容の確認及び作成事実を明確化し、公証人役場で原本が保管されるので、紛失や偽造等の恐れもないため、多少の手間と公証人手数料がかかっても安全確実なものと言えます。
いずれにしても遺言書は個人の自由意思で内容を決めることができますが、承継の仕方や状況により小規模宅地等の特例など相続税の特例を利用できる場合もあるため、ご本人のご希望を伺いながら、できるだけ税負担も考慮した承継が可能になるようアドバイスをさせて頂いております。
遺留分に留意
遺留分にもご配慮頂くようにお伝えしています。
遺留分とは「民法によって兄弟姉妹(甥・姪)以外の法定相続人に保障された相続財産の最低限度の割合」のことをいいます。 本来、自己の財産は生前贈与や遺言によって、原則自由に処分することができますが、この遺留分制度によって自己の財産の処分が一定限度で制限されています。
遺留分侵害のある遺言書も有効ですが、遺留分を侵害されている相続人(遺留分権利者)が遺留分を侵害している者に対して遺留分を請求すると言う意思表示(遺留分侵害額請求)をした場合には、請求を受けた者(遺留分を侵害している者)は、遺留分侵害額に相当する金銭の支払義務を負うこととなります。
当事者の話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所の調停さらには訴訟に発展することもあり、故人の意思が叶わないだけでなく、当事者にとって精神的、時間的に大きな浪費となります。
各法定相続人の遺留分相当額を確保した内容の遺言書であれば、たとえ特定の相続人に多く相続させる内容や相続人以外の者への遺贈などがあっても、通常は遺産分割に係る紛争に発展することなく、遺言内容を承諾せざるを得ないという抑制効果があると言えます。
また、「付言事項」を記載しておくことも有効です。付言事項は法律的な効果や強制力は生じないものですが、「遺言者自身の言葉で、何故このような内容の遺言書を作成したのかという気持ちや残された相続人等に対する感謝の気持ちなどを記載しておくこと」で、残された遺族が感情的に受け入れやすくなる効果はあります。
わたくしは遺留分侵害額請求があったケースにも複数携わってきましたが、遺言書作成の際にはそう言った経験を踏まえアドバイスをさせて頂いております。
なお、お子様がいらっしゃらない場合で、法定相続人が配偶者と亡くなった方の兄弟姉妹やその子供(甥姪)だけのケースでは、兄弟姉妹(甥姪)には遺留分が無いため、配偶者へ全てを残されても遺留分の問題は発生しません。
相続人以外の方や団体(法人)等へ遺贈したい場合、遺言書は必須
遺言書が無い場合には、法定相続人全員で遺産分割協議をして遺産を相続することになりますが、遺言書により、相続人以外の方等へも財産を渡すことができます。お世話になった方や団体等へ財産を残されたい方は遺言が必要になります。
料金
遺言書作成サポート(例えば、遺言書作成における書き方、財産額の試算、承継の仕方のアドバイス、自筆証書遺言に添付する財産目録の作成等)においては、具体的な内容に応じ個別にお見積り致しますので、まずはお気軽にお問い合わせください。